• 「全ての大人が全ての子どもを育てる保育園」へ。どろんこ会が目指すインクルーシブ保育「保育園+発達支援つむぎ」の取り組み。

    トピックス 2018年08月30日
    楽器を持った職員のもとに集まる子ども達

    2018年4月、千葉県君津市の公立保育園民営化として、新たに開園した宮下どろんこ保育園。40年以上前から地域の方たちと歩んできた伝統を引き継ぎつつ、どろんこ会グループが目指すインクルーシブ保育「保育園+発達支援」の取り組みにもチャレンジする保育園としてご紹介します。

    全ての大人が全ての子どもを育てる保育園へ

    宮下どろんこ保育園は、園舎内に児童発達支援事業所「発達支援つむぎ」を併設しています。児童発達支援事業所は、障がいがある子どもたちや心身の発達がゆっくりな子どもたちが療育を受ける施設です。どろんこ会では、障がいの有無によって育つ環境を分けるのではなく、保育園の中に児童発達支援事業所を併設することで全ての大人が全ての子どもを育てる保育に取り組み、子どもたちが「育ち合う環境」を実現しています。「宮下どろんこ保育園+発達支援つむぎ」が開園して、約5ヶ月。子どもたちが育ち合う様子をお伝えします。
    宮下どろんこ・つむぎ門扉
    千葉県君津市にて2018年4月に開園した宮下どろんこ保育園・発達支援つむぎ 宮下ルーム

    異年齢保育の実践が多様な子どもたちが流動的に混ざり合う環境を創りだす

    発達支援つむぎを利用する子どもたちは、朝、登園するとそのまま保育園児と同じ活動に入っていきます。発達支援の職員も同じように保育に入り、日々の生活や遊びの中で発達支援を行います。以前は療育施設に通っていた子どもたちが「果たしてこのような環境で1日過ごしていけるのか。パニックになるのではないか」と、不安に思う保護者の方もいらっしゃったそう。しかし、そんな大人の不安をよそに、子どもたちは自然に混じり合って、話をじっと聞いていたり、体育活動ではちゃんと順番に並び、終わったらまた列に戻ってチャレンジしたり、園庭では好きな遊びに集中している時もあれば、他の子どもたちと同じ遊びを楽しんでいたりしています。集団活動や他者とのコミュニケーションが難しい、気持ちの切り替えができない、こだわりが強いなどの問題を指摘されてきた子どもたちが、ここでは全く違う姿を見せているのです。

    3~5歳児が一緒に行う体育活動
    3~5歳児が一緒に行う体育活動。異年齢保育の実践が多様な子どもが混ざり合う基礎となっています。

    園庭遊び
    園庭遊びでも、保育者と子どもたちが混ざり合いながら様々な遊びを展開しています。

    やりたい遊びを園児が自分で選びます
    どろんこ遊びや三輪車、縄跳び、サッカーなど、やりたい遊びを自分で決めてたっぷり遊びこんでいます。

    縁側給食
    座る場所も食べる量も子どもが自分で決める給食。異年齢で食卓を囲むことが子ども同士の気づき、学びにつながっています。

    発達支援つむぎの真島施設長は、この様子をこう語ります。
    「以前勤務していた都内のつむぎの事業所では、1~2時間の中にいくつかのプログラムを用意し、気持ちの切り替えができるように、子どもたちには事前に何をやるのかを提示して時間配分しながら活動していました。でも、ここでは朝9時過ぎから給食まで保育園と同じ活動に入るため、子どもたちに何時に何をやるかを伝えることはありません。見通しを立てづらい状況でも、気持ちの切り替えができない子やパニックになる子はいないんです。園庭などで遊び込める時間があり、自分がやりたいことをやりきることができるし、違いを受け入れてみんなが混ざり合うインクルーシブで、自主性を見守る職員がいる環境だからなのではないかと思っています。」

    5ヶ月間、違いを認め合い混ざり合う保育環境をどう作ってきたのか、齋藤園長と真島施設長にお話をお聞きしました。

    「みんな違って、みんな良い」が自然に実践され、どろんこ会の方針に近づいてきた–宮下どろんこ保育園 齋藤園長

    –「保育園+発達支援つむぎ」の園長に任命された時はどのような気持ちでしたか。
    保育者がしっかり寄り添うことで、支援が必要とされる子どもたちは落ち着いて活動できるということを目にしてきたこともあり、発達支援の専門職員と一緒に保育していけるということにとても期待を持ちました。前任の園では運動会の練習には参加しないのに、本番ではちゃんとできる子がいました。みんなと同じようにしなくても、その子なりに練習に参加していたということだったんですね。発達支援が保育園に併設されることで、「みんなが同じことを一緒にしないといけないんだ」と思いがちな保育のあり方が変わっていくきっかけになるのではないかと思います。

    — 共に活動することで園児や職員に何か変化がありましたか。
    職員が全ての子どもへの言葉がけを見直し、「みんな違って、みんな良い」が自然に実践されてきたと感じています。例えば、園児が給食の配膳時に歩行が難しいお友だちのお手伝いをするようになったり、偏食があってパンしか食べられないお友だちと自然に食事をしていたりしていますが、職員がそれを大げさに褒めたりせずに自然に見守り、特別視しないから子どもたちも「みんな違って良いんだ」という雰囲気になっているんです。保育がどろんこ会の方針に近づいてきたのかなと思っています。

    合同で行われる園会議
    保育園とつむぎの職員が一緒に園会議を行うことが、「一つの大きな屋根の下で一緒に生活する仲間」という意識につながっているそう。

    –「保育園+発達支援」の運営で大事にすべきことは何でしょうか。
    「一つの大きな屋根の下で一緒に生活している仲間」という気持ちです。その気持ちを持つためには、最初から物理的なことは一緒にしておくべきで、物理的なことが分かれていると職員同士も保育も分かれていくことにつながります。例えば、同じ事務所なのに机は保育園とつむぎで分かれた配置図になっていたので、一緒に会議もするのにそれはおかしいんじゃないかと一つの島にまとめました。備品も各事業で持つのではなく、共有して使っています。ただ、バスだけは定員の都合上、一緒に乗って遠足などに行くことが難しく、今は解決方法を検討しているところです。

    音楽好きな齋藤園長と真島施設長
    音楽が好きという共通点がある齋藤園長と真島施設長。得意な楽器を演奏しながら保育に入ることも。

    様々な子どもたち、大人との関わりの中で育っていく姿に日々驚かされています–発達支援つむぎ宮下 真島施設長

    — 保育園に併設される発達支援事業所として、どのようなことに取り組んできましたか。
    保育園は4月開園、つむぎは5月開園で最初は利用児もいなかったため、つむぎ職員は毎日保育に入りました。私たち自身が保育の視点や保育園運営のこと、何より「生活の中で子どもたちを見る」ということはどういうことかを学ぶ大事な時間でした。その時間があったからこそ、つむぎ利用児が保育園の活動に入っていく時に職員同士がうまく連携できたのかもしれません。

    — 一つの大きな屋根の下で一緒に生活している子どもたちの様子は?
    ある子は、感覚過敏などで最初は裸足で芝生を歩けなかったのに、みんなのように遊びたい気持ちが勝って芝生の上で遊ぶようになりましたし、以前の施設では給食を食べられるようになるまで1ヶ月かかったと聞いていた子が、利用開始してすぐに友だちと同じように、自分で座る場所を決めて配膳の列に並び、ご飯やおかずを盛り付けて、使ったことのなかったお箸で食べ始めたこともありました。友だちとの関わりの中で育ち合う姿に毎日驚いています。

    「保育園+発達支援」で、全ての大人が全ての子どもを育てる保育の実現を目指すどろんこ会。今後もこうした取り組みを発信していきます。

    私たちと一緒に、子どもにとって『真(ほんとう)に必要な子育て』にチャレンジしてみませんか?

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